Amazonレビューの読み方

レビューを活用してより良い買い物をしよう

レビュー多数でやけに高評価な書籍の見方「チームが機能するとはどういうことか」

今回の題材

チームが機能するとはどういうことか

レビューチェック

19件とかなり多めです。それだけ読まれているのは確かです。過半数が最高評価なので嬉しくなりますが、レビューはレビュー。数だけでは分かりません。

f:id:thinkaboutcsharp:20190717234639p:plain

やけに高評価な場合

高評価レビューを集中チェック

レビューを読んでほしい人ほど、タイトルを書きます。読ませたいと思って書かれたレビューはどれくらいあるでしょうか。

星5つのタイトルを並べてみます。意味のあるタイトルが上に来るように、画面の順序とは違う並べ方をしています。

  • 「学習する」力と「実行する」力を兼ね備えたチームつくりの方法論 — Tsukutahito
  • 期待した通りチーム運営のバイブルになりそう — くまが
  • リーダーじゃなくてもぜひ読みたい一冊 — OSAKANA
  • 既存のリーダーシップ、チーム形成を大転換する一冊。 — 松浦敬
  • 実証研究が多く掲載されている — 世渡り蟹
  • 世の中がますます複雑で多文化的になっているからこそ、学びたい一冊! — W.A.R.M
  • 「組織」が学習すべきというメッセージ — Ordinary Cruncher
  • 状況に応じた学習サイクルの使いわけ — 加賀谷昌樹
  • 実践して身に付く本。 — Aki
  • 素晴らしい — Amazon カスタマー
  • 良い本です。 — スワガー

どうやら、学究的な内容を含んだ書籍のようです。そして『学習』というキーワードがありそうです。
タイトルには、レビューワーが最も注目した、あるいは感銘を受けた、重要なポイントが書かれています。中華家電のレビューには金で買った安っぽいタイトルが乱立していますが、書籍ではあまり見られません。
タイトルにこれだけ幅があり、それでいて一貫性が認められるのであれば、高評価レビューが多いことを書籍の価値と考えて良さそうです。

低評価なレビューをチェック

中間は見ません。今回はレビューが多いので、時間の無駄です。

上の画像で分かりますが、星1つがありません。高評価レビューを信用するならば、総合点が普通に高いと考えるべきです。なので、星2つのレビューをチェックします。

レビューワー:ひよどり
日付:2018年9月19日
引用:2019年7月17日

チームという事に意識を持つようになったので、購入しましたが、 残念ながら、海外の学者の方の執筆で、今の私の現場からは離れていると感じました。
「うまくいかなかったところ、改善の余地のあるところは?」という件は私には合っていた。

翻訳本なんですね。日本は世界から見て非常に特殊な文化を持つために、翻訳本が合わないケースが多いです。しかし、文化の違いを知ってさえいればクリアできる問題です。高評価レビューの中に、多様性について言及したタイトルがありました。そもそも他者との文化的な違いを理解しなければ、この本の内容を実践するのは難しいでしょう。例によって私は読んでいませんが。

『学者』と言っているので、学究的なのも理解できます。『今の私の現場からは』ということから、フィールドワークの成果なのでしょう、具体的な現場の情報に基づいて研究されていると思われます。レビューリーディングとしては、高く評価していると読み取るべきです。

最後にレビューワーに合っている部分もあることで、星2つになったのでしょう。その程度だと星1つにする人も珍しくないですから、かなり惜しい内容だったことが推察されます。

レビューワー:masa
日付:2019年2月10日
引用:2019年7月17日

内容や提唱している概念などは価値のあるものだと思います。しかし、訳が適していないと思うところが散見されます。組織研究の知見がある訳者が担当すべきだったなと。残念に思いました。

このレビューから読み取るべきは、冒頭の一文のみです。『価値のあるものだ』と言っているのだから、それでいいんです。

残りの部分は、専門書、学術書でありがちなレビューです。適切かどうか判断できない情報は棄てるのがレビューリーディングです。
この手のレビューワーには2種類あります。

  • 本当に分かっている人
  • 知識しか持っていない人

分かって書いている人もたまにはいるようですが、ほとんどは後者です。自分の知っていることが書かれていないと間違いだと言う。全てを知っている気でいるのなら、本など読まなくていいだろうに。
レビューワーがどんな人物なのかは知る術がありません。長文であればヒントを得られるでしょうが、今回は短文なので無理です。全体的に上から目線なので、ネガティブな印象ではありますが。

星2つはこれだけでした。

総括する

破棄した部分を除くと、否定的な内容は一切無いと言えます。私はレビューネタをランダムに探していますが、全く関心が無いにも関わらず読んだ方がいいのではないかと思えてきます。読みませんが。

ここへ来て紹介文を読んでみましょう。
困難を協力して乗り越えるための結束した集団を「チーム」と位置づけ、著者の造語と思われる「チーミング」を語っています。様々なタイプの組織を研究しているようで、何を学習すべきかはそれぞれ違うと言っています。だから「私には合わない」という人が出てくるんですね。
協力して困難な課題に挑戦するチームの話ですから、各自が粛々と日々の業務をこなすだけの組織には適しません。

紹介文をこうして読み解けるのも、先にレビューをチェックした成果です。本書で言う「チーム」で仕事をする組織、そう志している組織のマネージャーには適した良書かもしれません。

まとめ

結局、本文を読んだのは19件のうち2件だけでした。何事も量より質です。正直に全部目を通すのは無策というもの。我々が読みたいのは「本」であって「本のレビュー」ではありません。時間の使い方を間違うのはもったいないことです。

大量にレビューがある書籍は珍しいですが、電化製品でも同じです。

  • 全体傾向の把握。
  • 高評価レビューの信頼性のチェック。
  • 低評価レビューの点が伸びなかった理由のチェック。
  • レビューワーたちが着目したポイントのチェック。

それから、紹介文や目次を見ていけばいい。

私が書店で探す時も、パラパラとページを眺めて何となくの雰囲気を掴んでから、挨拶文や前書き、目次を見ていきます。後者は「事実」であってネットでも変わりありませんが、前者は「主観」であって実際に手に取らないと分かりません。手がかりはレビューしか無いのです。
うまく活用しましょう。

ちなみに、通常「チーミング」と言ったらネットワーク用語をイメージする人、もしくは何も思い浮かばない人が大多数だと思われます。仲間に宣伝するならば、ちゃんと前置きをしてから使った方がいいです。