最初に
ブログの読み方
Amazonで買い物をする時に、どうしても見てしまうのがレビューです。このブログでは、Amazonレビューを正しく読み取って、より良い買い物をするための方法を提案します。
題材としては、Amazonが初めから扱っている商品であり、私が最も利用するカテゴリーである書籍に絞ります。
そういう趣旨なので、商品を引用してはいますが、あくまでもサンプルであり、私からのお勧めではありません。
ただ、誤ったレビューの読み方をする人たちにとって、この手の説明書きは無いも同然です。確実に見落とします。ですが、当面は放置します。読み落とす方が悪いんですから。
引用には「引用:」として日付を書き添えます。レビューは書き換わったり消えたりすることから、この時点での引用だと示すためです。
Amazonレビューの特徴
レビューの内容をざっくり分類するとこうなります。
- 商品の事実
- レビューワーの事実
- 梗概
- 自己顕示
- レビューワーの過失
- 宣伝
- 無関係な感情
サンプルを見ながら説明します。
商品の事実
商品の客観的な事実に基づいた記述です。感想や意見に紛れていることが多く、事実よりも主観に目が行きがちですが、最も重要なレビューです。
「#名画で学ぶ主婦業」
レビューワー:MOMTT
日付:2018年11月12日
引用:2019年6月1日
内容は文句なしに楽しめました。セリフに合わせて絵が描かれたかのようにピッタリで思わず吹き出してしまいました。
何十年も前のストレスが解消された思いです。
テレビでこの本が紹介されてからAmazonで探すと在庫がなかったようで定価より高くなっていました。近所の本屋でもなかったので、欲しいものリストに入れておきました。たまにチェックしていて定価になっていたのですぐ購入しました。
2018年 9月10日 第1刷発行
2018年 11月16日 第2刷発行
となっていたのでまだまだこれから増刷もありそうです。今すぐほしい人以外は あわてなくても少し待っていれば定価で入手できそうです。
どうでしょうか。商品の事実として分かることをピックアップしてみます。
- 名画にセリフを入れている
- 吹き出すほど楽しいセリフになっている
- テレビで紹介されたことがある
- 中古だとプレミア価格
- 重版が早い
世の中から注目されている面白い系のネタ本だということがハッキリ伝わります。
こういうレビューを発掘すると、とりあえずどういう本だと思って他のレビューを見ればいいのか、足掛かりとなります。あまり無いですけど。
レビューワーの事実
商品ではなく感情や体験についての記述です。100%主観であり参考にならないものが多いですが、中にはヒントを読み取れるレビューもあります。
「小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て」
レビューワー:千田賢也
日付:2018年12月8日
引用:2019年6月1日
子達は成人し、手遅れですがw
このような目線と気構えで子供と接することのできる様頑張ります❗
本当に感謝です。
商品について、何も書かれていません。内容はレビューワー自信のことだけ。それでも分かることがあります。
- 子育てを終えた人が共感できる
この一点でしょう。経験者の共感ほど、説得力のあるものは無い。どんな本か知らないけれども、良書であろうと期待できる。
こういうレビューは、他のレビューで概要を掴んだ上での、決め手になりがちです。
梗概
梗概とは、小説ならあらすじ、資料ならサマリーのような、本の内容をざっと俯瞰して簡単にまとめたものです。目次ではありません。それ自体に中身のある文章です。
「Newton別冊『微分と積分 新装版』」
レビューワー:寺尾 浩樹
日付:2018年12月21日
引用:2019年6月1日
微分、即ちdx/dtとは変位の時間変化率、つまり速度なのです。
このように微分という計算法は、瞬間の変化率を求めるものです。
瞬間とは時間を最も細かい尺度で刻んだ場合の一瞬であり、 サンスクリット語では一刹那ともいいますが、それは不可避的に動きを伴うので、 ベクトル概念と親和的です。だから、瞬間の力はどう計算するかといえば、
ニュートンの運動方程式よりF=ma、そこでF(瞬間)=m(d2x/dt2)です。
加速度は大きさや向きがしょっちゅう変わっていますから、 必然的に瞬間の値を求めざるをえないのです。
そんなわけで、力学的な微分方程式は(d2x/dt2)+αx=0です。
その解形式はとりあえず、x=Acos(kt)+Bsin(kt)などと書けるでしょう。
A,Bは振幅、kは周期です。
一方、積分はその逆の操作なので、記号で示せば、∫(dx/dt)dt=x+Cなのです。
ここで、Cは積分定数といい、再度逆に微分すると消える任意定数であります。
この操作を不定積分といい、または上限と下限を定めて数値を求める方法を定積分といいます。
例えば、1次関数y=f(x)=ax+bについて、∫ydx=(1/2)ax2+bx+Cなので、 ∫(0→1)ydx=(1/2)a(1-0)+b(1-0)=(1/2)a+bなどとなるでしょう。
落体運動において、v=v0+gtを積分すると、x=x0+v0t+(1/2)gt2となり、 t[秒]後の位置が出ます。
如上のように、微分・積分は逆演算であり、一般には微分可能であれば、 元に戻すことを積分といっていますが、必ずしも積分できない場合もあるので、 要注意でしょう。例えば、ガウス積分や楕円積分などはその例です。
数値積分するか、またはそのままの形で置いておくほかない場合です。
それでは、本書をよくご覧になり、微分・積分という演算への理解を深めてもらえれば、 と思います。因みに、微分・積分は併せて解析分野に属しますが、 時空の境目が不明瞭になりそうな際どい領域で成り立つ概念であることを申し添えておきます。
したがって、後で偏微分ということも学習するのです。
しかし、まずは一変数でこの計算法に習熟することをおすすめしておきます。
これはレビューではありません。どういうつもりかは分かりませんが、結びの部分から推測すると、どうやら本書への導入のつもりなのではないか、と思われます。
要するに、本を読めば分かることです。本に何が書いてあるのかを、あらかじめ伝えようとしています。多くの場合無駄なことですが、時には価値を持ちます。
- 出版社・Amazonが手抜きをして梗概を載せていない
- CDのトラック情報が書かれていない
- 小説のタイトルからあらすじが想像できない
例えばこうした場合に、レビューの一部として梗概を書いてくれると有難いです。繰り返しますが、多くの場合は無駄です。
有難い場合も条件付きです。レビューの一部に過ぎないこと。梗概だけの内容は、カタログの補足です。
自己顕示
自己顕示とは、無駄に強い自己主張です。レビューの場合、対象が自分の器で処理しきれないのに、その弱さを対象へ責任転嫁するパターンです。
要は対象の上に立ちたいわけです。自分を大きく見せるタイプと、対象を小さく見せるタイプに分かれます。
「「いつでもおしゃれ」を実現できる幸せなクローゼットの育て方」
レビューワー:旧バージョン人間
日付: 2018年8月9日
引用:2019年6月1日
とりたてて珍しい内容が出ていることはなく、雑誌やネットで出てくる内容を再確認したという印象だった。
結局、オシャレをするにはある程度の経済力がないと保てないのに、今後、老後も危ないか?という時代に 添っているかといえば違うなと思うものが多い。
つまり、都会でフレキシブルに一生生活する女性のための本だなと思った。
結論から言えば後者の、対象を小さく見せるタイプです。
ネガティブな内容ですが、間違ったことを言っているわけではないのかもしれません。批判のポイントはこれだけです。
- 雑誌やネットの情報しかない
- 高い経済力を前提としていて生活とマッチしない
この人は雑誌やネットを毎日毎日穴が開くほど調べ倒して、あらゆる情報をキャッチしている人かもしれません。本に載っている方法は、並の経済力では実現しないほど非現実的なものなのかもしれません。
そういう時は、他のレビューを見ましょう。
- 全35件
- ぱっと見肯定的
であれば、レビューワーの事実を語っているだけだと考えた方が良さそうです。他の人にはあまり当てはまらないとすれば、あなたにも当てはまらない可能性が高いです。
基本的に、どんな内容であれ、自分に関係ないレビューは無視します。価値がありません。
この人は書籍の価値を下げることにより、それを批判している自分の価値を相対的に上げたがっているように見えます。本当かどうかは、この際どうでもいいです。あなたの役に立つレビューかそうでないかを見極められればいいんです。
レビューワーの過失
レビューワーの知識や分析に誤りがあるのに、本人が(当然ながら)分かっていなくて失敗している記述です。主に批判的、攻撃的な記述になり、扇情的であるが故に読み手の興味を引きます。ネットリテラシーの低い読み手にとって、最も厄介なレビューです。
「「学力」の経済学」
レビューワー:dakko
日付:2019年5月26日
引用:2019年6月1日
少人数学級について、クラスの生徒数を5人減らすのに幾ら幾らかかるのを考えると対費用効果が低いとのことで、日本の教育改革でそこばかり主張するのはおかしいとのことでしたが、欧米列国では最大の設定が約30人学級で、実際は25人での運営になっているので基本的にすでに普通の学級が少人数なのです。
日本は40人設定なので大幅に劣っていて、そこまでの基準に近づく費用を捻出する必要性がある段階なので、なぜそこを考慮に入れておられないのかとても不思議で、その後の文章は信ぴょう性を感じられなくなりました。
25人を20人にするのは退避用効果を考えてたいさないのでやる必要がないのは解りますが、40人を25人に、では大きく変化があるはずです。
文科省の資料「学級規模の基準と実際[国際比較]」で確認できます。
少人数学級について文句があるようです。過失を特定するためには、内容の分析が不可欠です。だからこそ、多くの読み手にとって厄介なんです。レビューを読む時間なんてほんの数秒でしかないのに、テクニカルライティングを知らない人が書いた文章を的確に分析しろというのは、素人には酷です。
こんな比較をしています。
項目 | 日本 | 欧米列国 |
1学級の人数 | 40 | 30(実際25) |
評価 | 悪い | 良い |
『列国』がどこなのかは明示していません。
少人数である方がいいというのは、本書と共通するようです。少しリサーチしましょう。
- 著者は慶応の教授
- 政府寄りの活動実績
- 経済学が専門
深追いしなくても分かります。学究の徒です。在野の人ではなさそう。だからこそデータで世界を見ている。数字を信用している。そういう偏見を持っても悪くない気がします。とはいえ、日本育ちの日本人です。一般に40人以上である事実くらい知っていることでしょう。
私は本書を読まずにレビューだけ見ていますが、この人が費用対効果が薄いという主張に噛み付いていることから、本書でそのデータを示しているのだと分かります。25人まで減らせたら期待できるであろう効果と、そのために計上されるべき費用が割に合わないというエビデンスが書いてあったはずです。
そこへ、この人は『大きく変化があるはず』と憶測で噛み付いています。感覚や経験則で語るべきではないという趣旨で書かれた本に対して、感覚で反論するのは間違いです。
つまり、このレビューワーは本の趣旨を理解していない。教育について一家言あるようですが、経済は何も知らなそうです。そこに過失がある。
レビューの過失はここまでしないと判別できない。怪しいと感じる直観と、リサーチできる論理的思考を備えていなければ、すぐに欺されます。
宣伝
文字通りです。いわゆるサクラです。お金をもらったのか著者自身なのか友人なのか関係各所なのか、なんだか知りませんけど売り文句ばかり書いていて役に立たないクズです。レビューの悪用と言わざるを得ません。
大陸製の工業製品には大量に存在しますが、書籍では珍しいです。啓蒙書や初心者向けの技術書で何度か目にしましたが、改めて軽く探しても見つからなかったので、あったらその商品の記事で紹介することにします。
本当に、書籍では珍しいものです。
無関係な感情
特に、商品レビューなのに出品者へのクレームを書いているタイプです。よく見ないと分からない書き方をすることもあり、そもそも全く役に立たない割には全体の星を下げる効果だけ持っていることもあり、邪魔で仕方ありません。
「沈黙のWebライティング —Webマーケッター ボーンの激闘」
レビューワー:ロイド
日付:2018年11月22日
引用:2019年6月1日
不必要な部分が多すぎて、時間が無駄になっている気がしてしまいます。
漫画が好きな人にはいいのかもしれません。
レビューワー:とんちゃん
日付:2019年1月29日
引用:2019年6月1日
ライティングのテクニックを知りたくて買うのだと思います。
著者の言葉をそのまま言ってやりたくなりました。
とにかく無駄な文字が多いです。
よく似たレビューが近くにあったので、両方持ってきました。
このレビューから何が分かるか?
まず、本書のタイトルがぶっ飛んでいます。見れば分かりますが、表紙もぶっ飛んでいます。誰がどう見ても王道の書籍ではありません。それを踏まえてレビューを読み直しましょう。的外れだということがよく分かると思います。
特に後者。あえて引いていませんがレビューのタイトルが『客は読みたくてライティング本を買うんじゃない』です。修飾語を省くと『客は読みたくて本を買うんじゃない』。日本語として何かがおかしいです。
ぶっ飛んだ書籍に王道を求めている時点で、上の「過失」につながります。ですから、過失を除外して読み取らなければいけません。何が分かるか。
- 漫画を多用している
- 王道書籍より説明に語句を費やしている
- 業界的な常識を省かずに書いていそうな期待
むしろ、ポジティブレビューとして成立しています。レビューワーたちは、そんな自覚を持っていないことでしょう。企図しないメッセージを読者に強く与えてしまう。テクニカルライティングの典型的な失敗例です。
つまり、このレビューワーはテクニカルライティングの基礎を知りません。自己顕示も入っているかもしれません。
まとめ
書籍は書店で実物をじっくり吟味して買うことがベストです。しかし物理的に困難なのは誰しもが経験で知っています。そこで頼りになるのは、レビューだけです。
レビューの読み方を知りましょう。論理的思考の訓練が必要になるでしょうが、今時のネット社会を生き抜くリテラシーとして省くことはできません。無駄金を使うことなく、無駄に感情に流されず、より良い買い物がしたいと思いませんか?