Amazonレビューの読み方

レビューを活用してより良い買い物をしよう

レビュー多数でやけに高評価な書籍の見方「チームが機能するとはどういうことか」

今回の題材

チームが機能するとはどういうことか

レビューチェック

19件とかなり多めです。それだけ読まれているのは確かです。過半数が最高評価なので嬉しくなりますが、レビューはレビュー。数だけでは分かりません。

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やけに高評価な場合

高評価レビューを集中チェック

レビューを読んでほしい人ほど、タイトルを書きます。読ませたいと思って書かれたレビューはどれくらいあるでしょうか。

星5つのタイトルを並べてみます。意味のあるタイトルが上に来るように、画面の順序とは違う並べ方をしています。

  • 「学習する」力と「実行する」力を兼ね備えたチームつくりの方法論 — Tsukutahito
  • 期待した通りチーム運営のバイブルになりそう — くまが
  • リーダーじゃなくてもぜひ読みたい一冊 — OSAKANA
  • 既存のリーダーシップ、チーム形成を大転換する一冊。 — 松浦敬
  • 実証研究が多く掲載されている — 世渡り蟹
  • 世の中がますます複雑で多文化的になっているからこそ、学びたい一冊! — W.A.R.M
  • 「組織」が学習すべきというメッセージ — Ordinary Cruncher
  • 状況に応じた学習サイクルの使いわけ — 加賀谷昌樹
  • 実践して身に付く本。 — Aki
  • 素晴らしい — Amazon カスタマー
  • 良い本です。 — スワガー

どうやら、学究的な内容を含んだ書籍のようです。そして『学習』というキーワードがありそうです。
タイトルには、レビューワーが最も注目した、あるいは感銘を受けた、重要なポイントが書かれています。中華家電のレビューには金で買った安っぽいタイトルが乱立していますが、書籍ではあまり見られません。
タイトルにこれだけ幅があり、それでいて一貫性が認められるのであれば、高評価レビューが多いことを書籍の価値と考えて良さそうです。

低評価なレビューをチェック

中間は見ません。今回はレビューが多いので、時間の無駄です。

上の画像で分かりますが、星1つがありません。高評価レビューを信用するならば、総合点が普通に高いと考えるべきです。なので、星2つのレビューをチェックします。

レビューワー:ひよどり
日付:2018年9月19日
引用:2019年7月17日

チームという事に意識を持つようになったので、購入しましたが、 残念ながら、海外の学者の方の執筆で、今の私の現場からは離れていると感じました。
「うまくいかなかったところ、改善の余地のあるところは?」という件は私には合っていた。

翻訳本なんですね。日本は世界から見て非常に特殊な文化を持つために、翻訳本が合わないケースが多いです。しかし、文化の違いを知ってさえいればクリアできる問題です。高評価レビューの中に、多様性について言及したタイトルがありました。そもそも他者との文化的な違いを理解しなければ、この本の内容を実践するのは難しいでしょう。例によって私は読んでいませんが。

『学者』と言っているので、学究的なのも理解できます。『今の私の現場からは』ということから、フィールドワークの成果なのでしょう、具体的な現場の情報に基づいて研究されていると思われます。レビューリーディングとしては、高く評価していると読み取るべきです。

最後にレビューワーに合っている部分もあることで、星2つになったのでしょう。その程度だと星1つにする人も珍しくないですから、かなり惜しい内容だったことが推察されます。

レビューワー:masa
日付:2019年2月10日
引用:2019年7月17日

内容や提唱している概念などは価値のあるものだと思います。しかし、訳が適していないと思うところが散見されます。組織研究の知見がある訳者が担当すべきだったなと。残念に思いました。

このレビューから読み取るべきは、冒頭の一文のみです。『価値のあるものだ』と言っているのだから、それでいいんです。

残りの部分は、専門書、学術書でありがちなレビューです。適切かどうか判断できない情報は棄てるのがレビューリーディングです。
この手のレビューワーには2種類あります。

  • 本当に分かっている人
  • 知識しか持っていない人

分かって書いている人もたまにはいるようですが、ほとんどは後者です。自分の知っていることが書かれていないと間違いだと言う。全てを知っている気でいるのなら、本など読まなくていいだろうに。
レビューワーがどんな人物なのかは知る術がありません。長文であればヒントを得られるでしょうが、今回は短文なので無理です。全体的に上から目線なので、ネガティブな印象ではありますが。

星2つはこれだけでした。

総括する

破棄した部分を除くと、否定的な内容は一切無いと言えます。私はレビューネタをランダムに探していますが、全く関心が無いにも関わらず読んだ方がいいのではないかと思えてきます。読みませんが。

ここへ来て紹介文を読んでみましょう。
困難を協力して乗り越えるための結束した集団を「チーム」と位置づけ、著者の造語と思われる「チーミング」を語っています。様々なタイプの組織を研究しているようで、何を学習すべきかはそれぞれ違うと言っています。だから「私には合わない」という人が出てくるんですね。
協力して困難な課題に挑戦するチームの話ですから、各自が粛々と日々の業務をこなすだけの組織には適しません。

紹介文をこうして読み解けるのも、先にレビューをチェックした成果です。本書で言う「チーム」で仕事をする組織、そう志している組織のマネージャーには適した良書かもしれません。

まとめ

結局、本文を読んだのは19件のうち2件だけでした。何事も量より質です。正直に全部目を通すのは無策というもの。我々が読みたいのは「本」であって「本のレビュー」ではありません。時間の使い方を間違うのはもったいないことです。

大量にレビューがある書籍は珍しいですが、電化製品でも同じです。

  • 全体傾向の把握。
  • 高評価レビューの信頼性のチェック。
  • 低評価レビューの点が伸びなかった理由のチェック。
  • レビューワーたちが着目したポイントのチェック。

それから、紹介文や目次を見ていけばいい。

私が書店で探す時も、パラパラとページを眺めて何となくの雰囲気を掴んでから、挨拶文や前書き、目次を見ていきます。後者は「事実」であってネットでも変わりありませんが、前者は「主観」であって実際に手に取らないと分かりません。手がかりはレビューしか無いのです。
うまく活用しましょう。

ちなみに、通常「チーミング」と言ったらネットワーク用語をイメージする人、もしくは何も思い浮かばない人が大多数だと思われます。仲間に宣伝するならば、ちゃんと前置きをしてから使った方がいいです。

レビューが極端に少ない書籍の見方「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」

今回の題材

官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪

レビューチェック

2件です。しかし、いずれも長文です。政治関係だとなぜか長文レビューの出現頻度が上がります。

長文の読み方

全部読もうとしてはいけません。時間の無駄です。書いた人はテクニカルライターではありませんから、自己主張の塊だと決めつけるくらいがちょうどいいです。

ものすごく長いレビュー

1件については、『続きを読む』リンクが表示されています。長文レビューを書く人たちは、結論から書くという技術を持っていません。だいたい、結びの部分に本当のレビューが集中しています。なので、

既に表示されている部分をあえて無視して最後だけ読む

という方法をとります。引用するとこうなります。段落が大きすぎるので、俄然引用もデカくなります。

レビューワー:puspaka
日付:2019年6月1日
引用:2019年6月7日


(前略)
この本を読んで未来も読めた。この官邸官僚三氏が、現首相退陣後も権力を維持するためには、新しい首相に取り入るしかない。しかし、その野望も、今、次期首相という餌を目の前にぶら下げられながら、必死で屈辱に耐えている岸田氏が首相になったりしたら一挙についえる。三氏がその権力を維持するためには、影の総理とも言われる剛腕官房長官氏に次の首相になってもらうしかない。しかし、官房長官氏には派閥も何もなく、いくら力があっても、このままでは首相になることは不可能である。だから官房長官氏に、異例のアメリカ単独訪問の場を設定したり、派閥作りを画策させたり、はては首相に、次の首相は”菅でいいんじゃないの”などと言わせたりして、虎視眈々と次の政権への布石を打っている。すべては自分たちの権力維持のためである。晴れて官房長官氏政権が誕生した暁には、その論功行賞として三氏にはこれまで以上の破格の地位が用意されるであろう。メデタシメデタシ。  だけどそんなにうまくいくかなあ。

タイトルを見れば『現首相』が安倍を指すことは明白です。どうやらこの人は、官邸官僚とされる者たちが安倍亡き後にどう権力を保とうとするかについて考察しているようです。この人が考察しているということは、本書ではそこに触れていないのでしょう。考察の内容が『未来』だとするなら、本書には過去が書いてあると思われます。官僚たちが権力維持を求めているという考察は、現時点で権力を持っていることを意味します。

全文見えているが長いレビュー

言いたいことはたくさんあるが、できるだけ簡潔に述べようと努力している。そういう目で見ましょう。
所詮は素人ですから、文章としてのまとまりまで期待してはいけません。それでも、

言いたいことをハッキリと言い切っている

ことは期待できます。ということは、全く濁していない言い切っている部分を探せば、言いたいことが分かるはずです。美しくないですが、引用のルールということで、切り出しはせず強調だけでその部分を示します。

レビューワー:さきこマイラブ
日付:2019年6月1日
引用:2019年6月7日


 現在の安倍政権を支えている、いわゆる「官邸官僚」の知られざる実態と行動を詳細に綴っている
 いろいろと官僚の不祥事やスキャンダルが相次いで発生しているにも関わらず、安倍政権が微動だにしない秘密がここにある。政権の意向を笠に着ているため、何が何でも安倍首相を守り抜くというのは、ある意味官僚として当然の事だろうが、忖度という言葉が悪い意味で流行語になったように、実は政権を守るべき官邸官僚自身が政権にダメージを与えているのではないかと心配になる。
 官邸官僚の立場にいる人々は、パワーエリートなのだから、政権を守るというよりも、国民のために政権が動いてくれるように誘導し、支えていってほしい。単に自己の権威の保持や保身に走るためではなく、国民のために行動してほしい。そうすれば安倍政権はまだまだ無事に続くであろう。
 官僚は一般的には真面目で優秀な人材なのだから、常に「国民のため」という視点を忘れないでほしいと思う。
 本書は、政務秘書官首相補佐官官房副長官などの官邸官僚の姿勢を綿密に取材し、一般の国民には見えにくい政権の裏側を紹介している。この点は大いに評価して良いであろう。

この色の部分が断言口調で語られています。読むべき場所はここだけです。まあ、目を通さないと断言口調を見つけることはできないわけですが、目を通すのと意味を考えながら読むのとでは全然違います。

これを切り出して整理するとこんな風になります。

本書には、現在の安倍政権を支える、いわゆる「官邸官僚」の知られざる実態と行動の詳細が綴られている。著者は政務秘書官首相補佐官官房副長官などの官邸官僚の姿勢を綿密に取材し、一般の国民には見えにくい政権の裏側を紹介している。ここに、安倍政権が微動だにしない秘密がある。

これだけで、どういう本なのか、あなたの興味をどれくらい引いてくるか、分かる気がしないでしょうか。

まとめ

テーマが重い書籍だと、ガッツリ系のレビューが増えがちです。正直に付き合っていては、自己主張に振り回されて書籍の純粋な評価が分からなくなります。ポイントを絞ってレビューを読めば、件数は少なくても、役立つ情報を得られます。

レビューが無い書籍の見方

レビューが無い理由

このように考えられます。

  1. 誰も読んでいない
  2. レビューする題材の書籍ではない
  3. 誰もレビューしたくない
  4. レビューが求められていないというコンセンサス

シリーズの新刊

漢検 3級 過去問題集 2019年度版
引用:2019年6月1日23時36分


Amazon 売れ筋ランキング: 本 - 1,290位
2位 ─ 漢字・文字
2位 ─ 漢字検定
26位 ─ 日本語研究

毎年出ていて、安定の需要があるのでしょう。この手の書籍は売れ行きがいいし、実際に数字も出ています。しかしレビューが無い。問題集という書籍は編集者の癖が出やすくクレームになりやすいはずなのに。
つまり、みんなが信用しているものだから、あえてレビューで云々する必要がない。むしろ野暮だ。そんなコンセンサスが読み取れます。

もちろん売れてないからという可能性を排除しなければいけません。売れ筋ランキングを必ずチェックしましょう。

極めて最近の出版物

普通に、誰も読んでいないパターンです。正確には、レビューを書くタイプの人が誰も読んでいない。

唯一の手がかりと思われたレビューですが、無いことから分かる点もあります。

ひよこ太陽
引用:2019年6月1日23時50分


Amazon 売れ筋ランキング: 本 - 12,272位
16位 ─ 芥川賞受賞(126-150回)作家の本
412位 ─ 日本文学

発売からたったの3日。本格的に情報がありません。でも見えてくるものがあります。

  • 作者は芥川賞受賞歴を持つ(なので受賞者をオフィシャルで調べる)
  • 「共喰い」の作者だった

小説ならではですが、出版社がそれなりの紹介文を載せています。これも引用します。

Amazon内容紹介
道理で女が出てゆくわけだ――。妄想に取り憑かれた作家の姿を描く新しい私小説。今日も死ななかった。あの帽子を見たために、今日も死なずにすんだ――。一緒に住んでいた女に出ていかれ、切り詰めた生活でひたすら小説を書く40代の男。書けない日々が続き、いつしか死への誘惑に取り憑かれた男に、ある日人探しの依頼が届くが……。虚実のあわいで佇む作家の日常を描く連作小説集。芥川賞作家の新境地作。

注目は最後の一文です。『新境地作』だそうです。「共喰い」をイメージしていると危険かもしれません。ただ出版社の言う『新境地』にはあまり説得力が無いのも確かです。どうしたらいいか。
けれども何となく作品の雰囲気を伝える紹介文になっています。『連作小説集』というからには、一本の柱を囲む複数のエピソードを並べた短編集といったところでしょう。

そこまで分かれば、買うべき人が絞られます。

  • 芥川賞系列の文学作品を愛読している
  • この作者の作風に関心がある
  • 紹介文にある作品の雰囲気に惹かれる

該当するならば、レビュー第一号になる価値があるかもしれません。

洋書

レビュー少ないです。英語のレビューはたくさんあるのに、日本語のレビューが無い。
最初に言っておきますが、洋書で全くレビューが無いならお手上げです。日本の書店で確認することは期待できません。ギャンブルになります。

Bibliophile: An Illustrated Miscellany
引用:2019年6月2日0時05分


Amazon 売れ筋ランキング: 洋書 - 22,981位
10位 ─ Antique & Collectible Books
37位 ─ General Books & Reading
297位 ─ Literary Movements & Periods

日本人の大多数はタイトルが読めないでしょう。"biblio-"=本の、"-phil"=愛好するなので、"bibliophile"は「本を愛でる」とでもいった感じです。"illustration"=イラストはまあ分かるでしょうが、本来の"illustrate"は「実例で説明する」といった意味です。"miscellany"=寄せ集めということで、サブタイトルは「雑多なサンプルによる実例解説」といった感じです。
そう言いつつ、(後の内容と若干矛盾しますが)レビューをよく見ると「イラストだから飽きるけど写真なら違うのかな?」という文章がありました。"illustrated"は、実例を並べているという意味と、イラストで描いているという意味の、ダブルミーニングのようです。これは本を買うか買わないかの判断に影響しそうなしなさそうな・・・

こればかりは、英語が駄目な人とはお別れです。なぜなら、英語が駄目なのに洋書を買う人はいないから。写真集とかイラスト集(日本語の「イラスト」)であれば、ジャケ買いでも構わないと思います。

英語なら52件のレビューがあります。基本的にそれを読めばいい。でも本文なら辞書を首っ引きで頑張る気にもなれますが、レビューにあまり労力を使いたくない。当然です。工夫してみましょう。

  1. 総合点を見る
  2. レビュータイトルを見る
  3. 単語を拾う

日本では、レビューはクレームを入れる場だと勘違いされているため、星3くらいでは低いと理解されています。しかし外国のレビューは感じたままを素直に書かれているため、星3を中央に下は低評価で上は高評価だと判断できます。
というわけで、上の本はAmazon.comで52件、星4.5をもらっている良書だと分かります。

星が決め手にならないなら、タイトルを見ましょう。日本人はビジネスメールのタイトルでさえろくに書けない人間が多いですが、外国では違います。人に見られる文章を書くならば、見せても恥ずかしくないように心がける。そういう「人」が多いかどうかは不明ですが、そういう「文」が多いのは確かです。

Amazon.comからのレビュー引用
<肯定的>

"A new favorite for this book nerd"(by Amanda Sandell)
"A must for book lovers!"(by J)
"It's Pure Joy!"(by Gigi)
"Best book I’ve seen in a long time!"(by P. McKenzie)

<否定的>

"Worthless"(by David L.)
"I almost LOVED this book!"(by Nicea Demers)

これくらいなら、一目でニュアンスが分かるはずです。"Worthless"(無価値)という痛烈なものはありますが、感動がストレートに表れた肯定派のレビューの力には負けます。

それでも迷うなら、本文を見るしかありません。文として読むのは大変ですから、ざっと単語だけ拾います。

Amazon.comのレビューで印象的だった単語
<肯定的>

delight, wonderful, fascinating, interesting, lovers, illustrations, gift

<否定的>

tired, nowhere, worthless, politically

肯定的な単語は繰り返し繰り返し出てきます。否定的な単語は一度しか出てきませんでしたが、印象は残りました。そういう部分は個人的な体験としての問題なので、やってみてくださいとしか言えません。
否定的なレビューに対してはこんな意見があります。

Amanda Sandellのレビューを一文のみ抜粋
"I rarely post reviews, but I wanted to balance the bad reviews that I simply don’t understand."
(私は滅多にレビューを書きませんが、今回書いた理由は、否定的なレビューが何を言っているのか単純に分からないので、評価を上げたかったからです。[訳:私])

10行以上あるような長いレビューは無視しましたが、それでもこんな感じの情報が得られます。52件(無視も含む)で1分もかかっていません。洋書を読むような人なら問題ないはずです。

まとめ

他のパターンもあることでしょう。気づいた時に追記します。

レビューが無いからといって、人気が無いとは限らないし、質が悪いとも限りません。思い込みで出会いを逃してはもったいないです。

最初に

ブログの読み方

Amazonで買い物をする時に、どうしても見てしまうのがレビューです。このブログでは、Amazonレビューを正しく読み取って、より良い買い物をするための方法を提案します。
題材としては、Amazonが初めから扱っている商品であり、私が最も利用するカテゴリーである書籍に絞ります。

そういう趣旨なので、商品を引用してはいますが、あくまでもサンプルであり、私からのお勧めではありません。
ただ、誤ったレビューの読み方をする人たちにとって、この手の説明書きは無いも同然です。確実に見落とします。ですが、当面は放置します。読み落とす方が悪いんですから。

引用には「引用:」として日付を書き添えます。レビューは書き換わったり消えたりすることから、この時点での引用だと示すためです。

Amazonレビューの特徴

レビューの内容をざっくり分類するとこうなります。

  1. 商品の事実
  2. レビューワーの事実
  3. 梗概
  4. 自己顕示
  5. レビューワーの過失
  6. 宣伝
  7. 無関係な感情

サンプルを見ながら説明します。

商品の事実

商品の客観的な事実に基づいた記述です。感想や意見に紛れていることが多く、事実よりも主観に目が行きがちですが、最も重要なレビューです。

#名画で学ぶ主婦業
レビューワー:MOMTT
日付:2018年11月12日
引用:2019年6月1日

内容は文句なしに楽しめました。セリフに合わせて絵が描かれたかのようにピッタリで思わず吹き出してしまいました。
何十年も前のストレスが解消された思いです。
テレビでこの本が紹介されてからAmazonで探すと在庫がなかったようで定価より高くなっていました。近所の本屋でもなかったので、欲しいものリストに入れておきました。たまにチェックしていて定価になっていたのですぐ購入しました。
2018年  9月10日 第1刷発行
2018年 11月16日 第2刷発行
となっていたのでまだまだこれから増刷もありそうです。今すぐほしい人以外は あわてなくても少し待っていれば定価で入手できそうです。

どうでしょうか。商品の事実として分かることをピックアップしてみます。

  • 名画にセリフを入れている
  • 吹き出すほど楽しいセリフになっている
  • テレビで紹介されたことがある
  • 中古だとプレミア価格
  • 重版が早い

世の中から注目されている面白い系のネタ本だということがハッキリ伝わります。

こういうレビューを発掘すると、とりあえずどういう本だと思って他のレビューを見ればいいのか、足掛かりとなります。あまり無いですけど。

レビューワーの事実

商品ではなく感情や体験についての記述です。100%主観であり参考にならないものが多いですが、中にはヒントを読み取れるレビューもあります。

小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て
レビューワー:千田賢也
日付:2018年12月8日
引用:2019年6月1日

子達は成人し、手遅れですがw
このような目線と気構えで子供と接することのできる様頑張ります❗
本当に感謝です。

商品について、何も書かれていません。内容はレビューワー自信のことだけ。それでも分かることがあります。

  • 子育てを終えた人が共感できる

この一点でしょう。経験者の共感ほど、説得力のあるものは無い。どんな本か知らないけれども、良書であろうと期待できる。

こういうレビューは、他のレビューで概要を掴んだ上での、決め手になりがちです。

梗概

梗概とは、小説ならあらすじ、資料ならサマリーのような、本の内容をざっと俯瞰して簡単にまとめたものです。目次ではありません。それ自体に中身のある文章です。

Newton別冊『微分と積分 新装版』
レビューワー:寺尾 浩樹
日付:2018年12月21日
引用:2019年6月1日


微分、即ちdx/dtとは変位の時間変化率、つまり速度なのです。
このように微分という計算法は、瞬間の変化率を求めるものです。
瞬間とは時間を最も細かい尺度で刻んだ場合の一瞬であり、 サンスクリット語では一刹那ともいいますが、それは不可避的に動きを伴うので、 ベクトル概念と親和的です。だから、瞬間の力はどう計算するかといえば、
ニュートン運動方程式よりF=ma、そこでF(瞬間)=m(d2x/dt2)です。
加速度は大きさや向きがしょっちゅう変わっていますから、 必然的に瞬間の値を求めざるをえないのです。
そんなわけで、力学的な微分方程式は(d2x/dt2)+αx=0です。
その解形式はとりあえず、x=Acos(kt)+Bsin(kt)などと書けるでしょう。
A,Bは振幅、kは周期です。  
一方、積分はその逆の操作なので、記号で示せば、∫(dx/dt)dt=x+Cなのです。
ここで、Cは積分定数といい、再度逆に微分すると消える任意定数であります。
この操作を不定積分といい、または上限と下限を定めて数値を求める方法を定積分といいます。
例えば、1次関数y=f(x)=ax+bについて、∫ydx=(1/2)ax2+bx+Cなので、 ∫(0→1)ydx=(1/2)a(1-0)+b(1-0)=(1/2)a+bなどとなるでしょう。
落体運動において、v=v0+gtを積分すると、x=x0+v0t+(1/2)gt2となり、 t[秒]後の位置が出ます。  
如上のように、微分積分は逆演算であり、一般には微分可能であれば、 元に戻すことを積分といっていますが、必ずしも積分できない場合もあるので、 要注意でしょう。例えば、ガウス積分や楕円積分などはその例です。
数値積分するか、またはそのままの形で置いておくほかない場合です。
それでは、本書をよくご覧になり、微分積分という演算への理解を深めてもらえれば、 と思います。因みに、微分積分は併せて解析分野に属しますが、 時空の境目が不明瞭になりそうな際どい領域で成り立つ概念であることを申し添えておきます。
したがって、後で偏微分ということも学習するのです。
しかし、まずは一変数でこの計算法に習熟することをおすすめしておきます。

これはレビューではありません。どういうつもりかは分かりませんが、結びの部分から推測すると、どうやら本書への導入のつもりなのではないか、と思われます。

要するに、本を読めば分かることです。本に何が書いてあるのかを、あらかじめ伝えようとしています。多くの場合無駄なことですが、時には価値を持ちます。

  • 出版社・Amazonが手抜きをして梗概を載せていない
  • CDのトラック情報が書かれていない
  • 小説のタイトルからあらすじが想像できない

例えばこうした場合に、レビューの一部として梗概を書いてくれると有難いです。繰り返しますが、多くの場合は無駄です。
有難い場合も条件付きです。レビューの一部に過ぎないこと。梗概だけの内容は、カタログの補足です。

自己顕示

自己顕示とは、無駄に強い自己主張です。レビューの場合、対象が自分の器で処理しきれないのに、その弱さを対象へ責任転嫁するパターンです。
要は対象の上に立ちたいわけです。自分を大きく見せるタイプと、対象を小さく見せるタイプに分かれます。

「いつでもおしゃれ」を実現できる幸せなクローゼットの育て方
レビューワー:旧バージョン人間
日付: 2018年8月9日
引用:2019年6月1日


とりたてて珍しい内容が出ていることはなく、雑誌やネットで出てくる内容を再確認したという印象だった。
結局、オシャレをするにはある程度の経済力がないと保てないのに、今後、老後も危ないか?という時代に 添っているかといえば違うなと思うものが多い。
つまり、都会でフレキシブルに一生生活する女性のための本だなと思った。

結論から言えば後者の、対象を小さく見せるタイプです。

ネガティブな内容ですが、間違ったことを言っているわけではないのかもしれません。批判のポイントはこれだけです。

  • 雑誌やネットの情報しかない
  • 高い経済力を前提としていて生活とマッチしない

この人は雑誌やネットを毎日毎日穴が開くほど調べ倒して、あらゆる情報をキャッチしている人かもしれません。本に載っている方法は、並の経済力では実現しないほど非現実的なものなのかもしれません。
そういう時は、他のレビューを見ましょう。

  • 全35件
  • ぱっと見肯定的

であれば、レビューワーの事実を語っているだけだと考えた方が良さそうです。他の人にはあまり当てはまらないとすれば、あなたにも当てはまらない可能性が高いです。

基本的に、どんな内容であれ、自分に関係ないレビューは無視します。価値がありません。
この人は書籍の価値を下げることにより、それを批判している自分の価値を相対的に上げたがっているように見えます。本当かどうかは、この際どうでもいいです。あなたの役に立つレビューかそうでないかを見極められればいいんです。

レビューワーの過失

レビューワーの知識や分析に誤りがあるのに、本人が(当然ながら)分かっていなくて失敗している記述です。主に批判的、攻撃的な記述になり、扇情的であるが故に読み手の興味を引きます。ネットリテラシーの低い読み手にとって、最も厄介なレビューです。

「学力」の経済学
レビューワー:dakko
日付:2019年5月26日
引用:2019年6月1日


少人数学級について、クラスの生徒数を5人減らすのに幾ら幾らかかるのを考えると対費用効果が低いとのことで、日本の教育改革でそこばかり主張するのはおかしいとのことでしたが、欧米列国では最大の設定が約30人学級で、実際は25人での運営になっているので基本的にすでに普通の学級が少人数なのです。
日本は40人設定なので大幅に劣っていて、そこまでの基準に近づく費用を捻出する必要性がある段階なので、なぜそこを考慮に入れておられないのかとても不思議で、その後の文章は信ぴょう性を感じられなくなりました。
25人を20人にするのは退避用効果を考えてたいさないのでやる必要がないのは解りますが、40人を25人に、では大きく変化があるはずです。
文科省の資料「学級規模の基準と実際[国際比較]」で確認できます。

少人数学級について文句があるようです。過失を特定するためには、内容の分析が不可欠です。だからこそ、多くの読み手にとって厄介なんです。レビューを読む時間なんてほんの数秒でしかないのに、テクニカルライティングを知らない人が書いた文章を的確に分析しろというのは、素人には酷です。

こんな比較をしています。

項目日本欧米列国
1学級の人数4030(実際25)
評価悪い良い

『列国』がどこなのかは明示していません。
少人数である方がいいというのは、本書と共通するようです。少しリサーチしましょう。

  • 著者は慶応の教授
  • 政府寄りの活動実績
  • 経済学が専門

深追いしなくても分かります。学究の徒です。在野の人ではなさそう。だからこそデータで世界を見ている。数字を信用している。そういう偏見を持っても悪くない気がします。とはいえ、日本育ちの日本人です。一般に40人以上である事実くらい知っていることでしょう。

私は本書を読まずにレビューだけ見ていますが、この人が費用対効果が薄いという主張に噛み付いていることから、本書でそのデータを示しているのだと分かります。25人まで減らせたら期待できるであろう効果と、そのために計上されるべき費用が割に合わないというエビデンスが書いてあったはずです。
そこへ、この人は『大きく変化があるはず』と憶測で噛み付いています。感覚や経験則で語るべきではないという趣旨で書かれた本に対して、感覚で反論するのは間違いです。

つまり、このレビューワーは本の趣旨を理解していない。教育について一家言あるようですが、経済は何も知らなそうです。そこに過失がある。
レビューの過失はここまでしないと判別できない。怪しいと感じる直観と、リサーチできる論理的思考を備えていなければ、すぐに欺されます。

宣伝

文字通りです。いわゆるサクラです。お金をもらったのか著者自身なのか友人なのか関係各所なのか、なんだか知りませんけど売り文句ばかり書いていて役に立たないクズです。レビューの悪用と言わざるを得ません。

大陸製の工業製品には大量に存在しますが、書籍では珍しいです。啓蒙書や初心者向けの技術書で何度か目にしましたが、改めて軽く探しても見つからなかったので、あったらその商品の記事で紹介することにします。
本当に、書籍では珍しいものです。

無関係な感情

特に、商品レビューなのに出品者へのクレームを書いているタイプです。よく見ないと分からない書き方をすることもあり、そもそも全く役に立たない割には全体の星を下げる効果だけ持っていることもあり、邪魔で仕方ありません。

沈黙のWebライティング —Webマーケッター ボーンの激闘
レビューワー:ロイド
日付:2018年11月22日
引用:2019年6月1日


不必要な部分が多すぎて、時間が無駄になっている気がしてしまいます。
漫画が好きな人にはいいのかもしれません。

レビューワー:とんちゃん
日付:2019年1月29日
引用:2019年6月1日


ライティングのテクニックを知りたくて買うのだと思います。
著者の言葉をそのまま言ってやりたくなりました。
とにかく無駄な文字が多いです。

よく似たレビューが近くにあったので、両方持ってきました。
このレビューから何が分かるか?

まず、本書のタイトルがぶっ飛んでいます。見れば分かりますが、表紙もぶっ飛んでいます。誰がどう見ても王道の書籍ではありません。それを踏まえてレビューを読み直しましょう。的外れだということがよく分かると思います。
特に後者。あえて引いていませんがレビューのタイトルが『客は読みたくてライティング本を買うんじゃない』です。修飾語を省くと『客は読みたくて本を買うんじゃない』。日本語として何かがおかしいです。

ぶっ飛んだ書籍に王道を求めている時点で、上の「過失」につながります。ですから、過失を除外して読み取らなければいけません。何が分かるか。

  • 漫画を多用している
  • 王道書籍より説明に語句を費やしている
  • 業界的な常識を省かずに書いていそうな期待

むしろ、ポジティブレビューとして成立しています。レビューワーたちは、そんな自覚を持っていないことでしょう。企図しないメッセージを読者に強く与えてしまう。テクニカルライティングの典型的な失敗例です。
つまり、このレビューワーはテクニカルライティングの基礎を知りません。自己顕示も入っているかもしれません。

まとめ

書籍は書店で実物をじっくり吟味して買うことがベストです。しかし物理的に困難なのは誰しもが経験で知っています。そこで頼りになるのは、レビューだけです。

レビューの読み方を知りましょう。論理的思考の訓練が必要になるでしょうが、今時のネット社会を生き抜くリテラシーとして省くことはできません。無駄金を使うことなく、無駄に感情に流されず、より良い買い物がしたいと思いませんか?